不動産投資は、レントロールの賃料をそのまま信じてはいけない
収益物件を購入するとき、多くの人がまず見るのが「表面利回り」です。
「利回り10%だから、この物件は高利回りだ」
そう考えてしまいがちですが、ここには一つ大きな落とし穴があります。
レントロールに記載されている現在の賃料が、本当に今の相場に合っているとは限らないからです。
例えば、10戸のアパートで、現在の平均賃料が5万円だったとします。
年間の満室想定賃料は、
5万円 × 10戸 × 12か月 = 600万円
物件価格が6,000万円なら、表面利回りは10%です。
一見すると、かなり魅力的な物件に見えます。
しかし、周辺の同じような物件を調べてみると、現在の適正な賃料が4万5,000円だったとします。
すると、本当の意味での満室想定賃料は、
4万5,000円 × 10戸 × 12か月 = 540万円
利回りは、
540万円 ÷ 6,000万円 = 9%
となります。
つまり、資料上は「利回り10%」でも、賃料を現在の相場に引き直すと「利回り9%」しかない。
この1%の差は、物件価格が大きくなるほど無視できません。
なぜ現在の賃料が割高になっているのか?
特に注意したいのが、長期間入居している部屋です。
昔は5万円で普通に入居が決まっていたとしても、周辺の賃料相場が下落していれば、現在では4万5,000円でないと決まらないということがあります。
逆に、何らかの理由で相場より高い賃料で入居しているケースもあります。
そのため、レントロールを見るときは、
「今、いくら入っているのか?」
だけではなく、
「この入居者が退去して、今日から募集したら、いくらで決まるのか?」
という視点が重要です。
私なら購入前に「賃料を引き直す」
物件を検討するときは、各部屋の間取り・広さ・築年数・設備・立地などを確認し、周辺の成約事例や募集状況から現在の賃料相場を調べます。
そして、
全室を現在の相場賃料に置き換えて、もう一度利回りを計算します。
これを私は「実力利回り」と考えています。
例えば、
- 資料上の満室年収:1,000万円
- 物件価格:1億円
- 資料上の利回り:10%
だったとしても、
- 相場に引き直した満室年収:900万円
- 物件価格:1億円
- 引き直し利回り:9%
なら、実際には「10%の物件」ではなく、9%程度の収益力を持つ物件として考えるべきです。
もちろん、購入した瞬間にすべての入居者が退去するわけではありません。
しかし、不動産投資は短期ではなく、長期的に保有する投資です。
現在の入居者が退去した後、その部屋をいくらで貸せるのか。
そこまで考えて購入価格を判断することが重要です。
高利回り物件ほど、賃料を疑ってみる
「利回りが高い=良い物件」とは限りません。
利回りが高く見える理由が、
- 相場より高い賃料で入居している
- 昔の賃料水準が残っている
- 空室の想定賃料が強気に設定されている
といったケースもあります。
だからこそ、物件資料に書かれている利回りを見るだけではなく、
「その家賃、本当に今の市場で取れるの?」
と一度疑ってみる。
そして、全室を現在の相場賃料に引き直しても十分に魅力的な利回りが出る物件を購入する。
これが、収益物件を高値掴みしないために重要な考え方だと思います。